片思いしてます
ホテルに着いた。



初めてくるホテル。



ロビーに入るとたくさんの人がいた。



宿泊者らしき人。



結婚式なのか、黒い着物を着た人。



色々な人がいる。




「琴子」


背後から母の声。



振り向くと、母と川北さんの姿。



毎日会う私の母だけど、今はなんだか別人のように見えた。



川北さんの隣にいるから?



なんだろう、この違和感。



私は、よくわからないまま川北さんに会釈をする。



川北さんも笑顔で返す。



母は、ずっと笑顔が崩れなかった。



「そろそろ行こうか」


川北さんに促され私は母と歩き出す。



前を歩く川北さん。



身長は高めで、広い背中。



白髪交じりの髪の毛。



母より年上だってわかるけど何歳なんだろう。



私は、じっと川北さんを見ていた。



この人が、母の恋人。
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