片思いしてます
最近の母は本当に楽しそう。



今朝も、お弁当を鼻歌をうたいながら作っている。



私は、横眼でその浮かれた様子を見る。




恋って本当にすごい。



母を見ているとそう思う。



私も、早く恋をしたくなる。



こんなに毎日が楽しいなら。




「ねー、もしかして川北さんのお弁当?」



テーブルの上に、3つ並べられたお弁当箱。



「そう、つくってほしいって言うから」



「でも、結婚してるわけじゃないのにこんなの作って、やばくないの?」



「大丈夫、一緒に食べるわけじゃないから」



「でも、会社では川北さんは妻を亡くした人なんでしょ?その人が、こんな家庭的なお弁当を広げたら噂になって、いつか関係がばれるんじゃないの?」



「大丈夫」



本当に恋ってすごい。



気も強くなるんだ。



本人たちがいいっていうんだからいいんだろうけど。





「そうだ、今度川北さんと旅行に行こうって言ってるんだけど、琴子も一緒に行かない?」



「行くわけないでしょ」



即答した。


「そう。
じゃー、日帰りにするわ」



「いいよ、せっかくなんだから2人で行って来たら」



「でも、琴子のことひとりでおいていけないし」



「大丈夫、もう高校生なんだから」



「うん…」




まだ、子供扱い。



2人の旅行についていくなんて絶対にありえない。



なにが楽しくて、母親達のいちゃついた姿をみないといけないの?



空気読めないにもほどがある。



「大丈夫だから、2人で行ってよね」



私は、母に念をおしておく。

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