水晶の涙
「えーっと…マンドラゴラと一種のハーブに、あと……」
ぶつぶつと言いながら、メモ帳の様な小さな紙に書くルシルちゃん
…っと丁度その時
ドドドドドッと言う何処からか壮大な足音が聞こえてきた
「…俺、逃げるわ。」
『…頑張って。』
カイ君はそれをいち早く察知して、その場から逃れようと立ち上がった
けど
「はい、残念!」
―ガシッ
「お…遅かったか…」
少しだけ開いていた教室のドアの隙間から伸びる手の持ち主
「俺から逃げられる筈ないって。諦めろー!」
満面の笑みのルイ君が、カイ君の肩をガッシリと掴んでいた
「離せ。」
どす黒さを聞かせたカイ君の声にも動じず、何時ものニコニコ笑顔は変わらない