水晶の涙



「えーっと…マンドラゴラと一種のハーブに、あと……」


ぶつぶつと言いながら、メモ帳の様な小さな紙に書くルシルちゃん

…っと丁度その時


ドドドドドッと言う何処からか壮大な足音が聞こえてきた


「…俺、逃げるわ。」


『…頑張って。』


カイ君はそれをいち早く察知して、その場から逃れようと立ち上がった

けど


「はい、残念!」

―ガシッ


「お…遅かったか…」


少しだけ開いていた教室のドアの隙間から伸びる手の持ち主


「俺から逃げられる筈ないって。諦めろー!」

満面の笑みのルイ君が、カイ君の肩をガッシリと掴んでいた


「離せ。」


どす黒さを聞かせたカイ君の声にも動じず、何時ものニコニコ笑顔は変わらない





< 107 / 171 >

この作品をシェア

pagetop