水晶の涙



今は緊急事態だ。
君も直ちに避難しなさい。

って…


『緊急事態だからこそ、行かなきゃいけない。』


大分少なくなってきた人混みの中を、ルナ先生の後を追うようにして走る

私より先を駆けるルナ先生は、腰の大剣に手を掛け、何時でも抜ける様な状態だった


〈コロス、殺す〉


『……っ…』


また、聞こえた

頭が痛くなる様な、さっきよりも強い声に、足の動きを少し早める




下駄箱から外に出ると、何時もなら、整備された広い運動場が現れる

だけど、今は違った


「ガルオォォオッ!」


一部が凹んでる地面

踏み潰された花壇

薙ぎ倒される、
運動場の端に建っていた筈の
電灯

そして、辺りに響き渡る
獰猛な鳴き声





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