水晶の涙



―ガキィンッ

―ガンッ


金属と金属とが交わる様な甲高い音が、耳の中を刺すみたいに聞こえる


悪魔の爪、牙

それを難無く月色の大剣で流し、確実に悪魔にダメージを与えていく


ルナ先生に切られた悪魔の切り傷からは、人間とは違う

黒い血が地面に滴っていた


「グギャアァァアッ!」
〈痛い、イタイ!〉


その黒い血を振り撒きながら、痛みに悶え堪える様な姿が

凄く痛々しくて


『…っ、先生ッ!その子を傷つけちゃダメ!』


一瞬の隙を見て、悪魔を背に、先生と悪魔の間に滑り込む様にして立ち塞がった


「な、何を…!」


咄嗟だったのだろう

―ガチャンッ
と言う音がして、ルナ先生は月色の大剣を手放し、悪魔から庇う様にして、私を抱きしめた




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