水晶の涙
「…グルォウ…?」
〈ミレイナ、か?〉
ミレイナ
聞き覚えの無い名前に、本当なら
『違う』
って答えたかった
なのに、
―ドクンッ
『…久しぶりね、コウ。』
私が喋ろうとした事とは
全く違う事だった
今、私が口にした
コウ
なんては名前は知らないし
目の前の、ドラゴン型の悪魔に以前、会った事がある訳でもない
…なのに、自分以外の誰かが、私の中で話してるみたいに
口が勝手に動き出す
「グルルル…」
〈過去の契(チギ)りだ、来い〉
『…そう。もう、そんな時期になったのね…』
私はそう言いながら、抱きしめていたルナ先生の手から起用に抜け出し、悪魔に近づく
…頭では、
動こうとしていないのに
体が勝手に、そう動いてしまう