水晶の涙



「つまり…拉致してきたの?」


「…そうなんのか?」


「…お兄ちゃんのバカァ!」


―バシッ


「痛ッ、何しやがる!」

ある意味、爽快な男がして女の子の平手は見事にライン君の頭に当たった


今度の攻撃も、ライン君は避けようと半歩後ろにさがったらしい、けど

それを女の子は予想していたみたい


結果的に、ライン君の動きに合わせて女の子も半歩前に進み、力一杯に叩いた


「あの、本当にゴメンなさい!私のお兄ちゃんがご迷惑を…」


『…ぇ!?い、いえ!そんな…』


女の子が頭を下げると、私が頭を下げ、私が頭を下げると、女の子が頭を下げ…

ってな事が数十回位続くと、ライン君は埒が明かないと思ったんだと思う

私の真横で、態(ワザ)とらしく、盛大な溜め息を着いた




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