水晶の涙

葉桜の笑み




『…ぁ……』


肩で息をしながら、
額に少し、汗を浮かべて

私の方を真っすぐに見つめる

…カイ君だ


「えっと…どちらさま…?」


カンナちゃんが首を少し傾げながら、頭に?を浮かべて、カイ君を小さく指(ユビ)指す

するとジュンちゃんも、「ウチも知らん」と、首を左右に振った


「…お前、誰だ。」


ライン君の少し、どすの利いた声が、シンとした教室の中でハッキリと聞こえた

なのに、カイ君はそれが聞こえてはいないかの様に、ズンズンと私の元へ歩いて来る


「…アリア。」


『カイ…君…』


何で…ここに来たの?
何で、ここに居るの?

やっと、
忘れられそうだったのに

さっきの、惨めな思いを




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