水晶の涙
「しぃちゃん、ちょっとこっちおいで」
肩に掛けてあるスクバをドサッと地面に置いて、スクバの中を漁る。
そして取り出したのは……。
「…あった、ミニ裁縫セットっ!」
持ち歩いててよかった〜っ!
私に呼ばれ近づいてきたしぃちゃんを膝の上に乗せて、それからミニ裁縫セットの中から針と糸、それに小さな布切れを両手に装備する。
「―――ッ!」
「…針…?大丈夫、針で攻撃しようとしてる訳じゃないよ。」
「……――?」
「本当。嘘、付いてないよ」
針を危険なものと察知したらしい。
一瞬、しぃちゃんの中から黒く、ユラリとした何かが見えた。
けど、危害を加えないとしないと確認すると直ぐにそれは…消えた。
「すぐ、終わるからね」
しぃちゃんの背中の穴を塞ぐため、その上に布切れを置く。
そして、チクチクと縫い合わせていく。