水晶の涙
ざわめく、ある体育館の中。
「〈えー、皆さん〉」
どこの学校にでもいそうな薄毛で少し禿げ気味の気の弱そうな校長先生が、マイクの前でコホンと一つ咳をして、段々と皆が静かになっていった。
パイプ椅子に腰かけてからからずっと下を向きっぱなしだった視線を、ゆっくりと私もステージの上に向ける。
「〈今日から皆さんは晴れて、この学校の生徒になりました。優秀な悪魔払い師に成れるよう、頑張りましょう〉」
…そう。
今日に凡そ150人余りの生徒達が、ここ『特殊石高等学校』に入学した。
「〈では今から、先生方の指示に従い、他の教室に移動してもらいます。では先生、よろしくお願いします……〉」
校長先生がマイクを置き、ステージから降りていくのをボーっと眺めている中。
「…ねぇ、この子の髪…」
「……染めてるのかな…?」
後ろの子達の会話が、聞こえてきた。
…全然、染めてないんだけどな。
そうは思うけれど、地毛の筈の私の髪の毛は普通の色をしていないから、そう思われてしまうのも理解できていた。
生まれつきの軽くウェーブのかかった長い白髪が、どこからか吹き抜けた風にゆらりゆらりと揺れる。
あぁ、周りからの視線が痛い。
生徒達の異質なモノを見る時のジットリとした沢山の視線に、私はまた、空色の瞳を下に伏せてしまった。
私の名前は、アリア・サラ。
一応、これでも150人の生徒の中の
入学生のちゃんとした一人です。