水晶の涙
イチゴサンドを見事に完食して「ごちそうさま!」と言って、それからスカートのポケットの中に手を突っ込む。
「…今日も、一緒に頑張ろうね」
その中に入っている持ち石の水晶を握って、独り言の様に小さくそう呟いた。
どうしてか、こうして水晶に話しかけていると何だか落ち着くんだよなぁ。
「…アリア、そろそろ学校の時間だろう?」
「…あっ、そうだった!」
タナおじさんに言われてハッとした。
時計は7時30分を示している。
予め用意していたスクバを肩に掛け、玄関に向かうと「えっ!?もう出発?!」と、後ろからチナおばさんの声がした。
「…じゃあ、行ってくるね」
「あぁ、ちょっと待って!」
玄関を出ようとする私は、チナおばさんの急いだ声によって止められた。