水晶の涙
「…では、今から皆さんの持ち石の力を測る測定室に向かいますので、二列で私に着いて来て下さい」
先生の指示で私も周りの生徒も二列になった時、隣の男の子に肩が少しだけぶつかってしまった。
思わず顔を上げると…その人と私の視線がバッチリと合ってしまう。
「…お、俺の隣は噂の子か」
その人は目つきは少しだけ悪かったけれど、優しそうな雰囲気の人だった。
その人は、ニッコリとした笑顔で唇の隙間から白い歯をチラリと覗かせて、少し目を細めながらこちらを見ている。
「えっと…噂って?」
そう首を傾げて聞くと、男の子は私の髪の毛と目を交互に指差す。
「多分、その髪と瞳のせいだろうな。目立ってたから一発で噂になってた。変な女の子がいる〜ってさ」
あっ、そう言う事ね。
自分の髪に触れて、何度か頷きながら自分でも凄く納得した。
何せ…回りを見渡せば、皆の髪や目の瞳の色は黒や茶色や焦茶色ばかり。
その中にポツンと白髪が居れば、動かなくても目立ってしまう
…ま、でも。
そんなのは今に始まった事じゃないし仕方のない事だから、そこまで気にすることでもないのだけれど、ね。