水晶の涙



「どの子どの子っ」


「真ん中辺りの席に座ってて、リボンを着けてる…」


『………あっ。』


カイ君の言う子って言うのは多分、頭に黄色のリボンで髪を結んでる、大人しそうな子の事だと思う


その子は一人、誰とも交わらず、静かに本を読んでいた


『じゃあ私、あの子を誘ってくるね。』


「私も行く!」


ルシルちゃん同行で、女の子の元へと向かって行った
…までは、よかった


「あのさっ、よかったら2時間目の校内探索…私達と一緒に行かないっ?」


「………」


『……?、あの。』


「………」


…無反応

全くと言って言いほどの、無反応

声を掛けても、微動たりとも本から目線を放す様子はない





< 43 / 171 >

この作品をシェア

pagetop