水晶の涙
「…あのっ!すいませーん!」
「……何ですか。」
ルシルちゃんが声を上げた時
やっと小さく反応した
…それととても小さく、本からは目線は外さないままの声だけの反応だった
『えっと…2時間目の校内探索、よかったら私達と一緒に行かないかなぁって…』
「……別に。」
「別に。って…」
女の子の答えに顔を見合わせた
別にって言うのは
別にいいよ、って事なのか
別にいい、って事なのか
…どっちなんだろ
『えっと…それってどう言う――』
聞き返そうと、もう一度女の子に声を掛けようと首を少し傾げた
その時
「可愛子ちゃん発見ーっ」
ギュッ
「……は、?」
『ふぇっ!?』
「………」
後ろからの突然の男の子の声と重みに、体が固まった