水晶の涙



ヤバい


顔には出さない様にしてる、…つもりだけど、嫌な汗が背中を滴る


ここに居るのは皆、低級悪魔で、大きさも小さければ、力も小さい

だけど


小さな力も寄り集まれば、予想以上の力が生まれる


カイ君が一人戦ったって

勝てる筈、ない


『…皆は優しい、を一杯持ってる。それを忘れちゃダメ。』

そっと、巾着袋に手を掛け、中から水晶を取り出す


「―――!」


「――…」

それに気づいた悪魔達が、今以上に騒ぎ出した


「…俺とアリア二人なら、この悪魔達を浄化できる筈だ。だから…」


カイ君も私の行動に気づいたのか、私も悪魔を消そうとしているのだ、と思ったんだと思う


そう、力強い声で私に言った

けど


『…私には、皆を消したりなんか出来ない。』

そう言って、水晶を前に突き出した





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