水晶の涙
『体質も、前より落ち着いてきたし、いざとなれば特殊能力で皆を抑えるから…だから…!』
皆を、消さないで
「……っ」
正直、迷ってる
悪魔は俺達の敵で、今通ってる学校だって、悪魔を倒す為に入学したんだ
他の生徒の大半だって、根本的な理由は同じ筈
なのにアリアは
悪魔を庇った
「…ク、ルぅ?」
『…ごめんね、怖かったね…』
オレンジ色の、クマのぬいぐるみに憑依した悪魔が目を覚ましたらしい
アリアの存在を認識すると、悪魔はアリアの白く長い髪の毛を、弄(イジ)り遊び始めた
…さっきの狂暴な様子なんて、全く感じられない
「…悪魔、は…」
と、その時
キーンコーン
カーンコーン…
『…あ、』
遠くから、学校のチャイムの音が聞こえた