水晶の涙
触って、いいのか?
…でも、コイツは
悪魔な訳で
消さなけりゃいけない
…でも
「クルゥ…クゥ?」
可愛く下から俺を見上げる姿や、アリアのさっきの言葉に
悪魔は全て
消さなけりゃならない
って言う考えが、揺らいでいる自分が居るのは確か
『…くぅちゃんは、優しい子だよ?ちょっとでいいから…、触ってみてっ』
最後には、アリアの言葉に後押しされ
「――っ、くそ!」
ぬいぐるみの頭のてっぺんに、思いきって触れた
「クルゥ…?」
その手を、不思議に触れようとするぬいぐるみ
悪魔が憑依していてもぬいぐるみはぬいぐるみらしく、布のざらざらとした感覚を感じた