水晶の涙



「――…

〈助け…


言い終わる前に消えた声と
一瞬で消えた光


ハルちゃんの前のガラスケースの中には

「…ハル・リイチ。低級悪魔 浄化テスト、合格。」


何も、無かった


『…ぅ……ぁ…っ』


何で?

あの子は悪い事
してないのに

消されちゃうの?
消さなきゃならないの?


嫌だ

嫌だ


『嫌…っ』


ガタンッ


「先生、コイツが体調悪そうなんで、保健室に連れてって来ます。」


不意に、後ろから腕を捕まれた

カイ君は、私を強引に立たせると、肩を抱くようにして教室の外へと向かおうとする

先生も、私の真っ青な顔を見ると
「分かった、行ってこい。」
と、すんなりと頷いた





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