水晶の涙



そして、その後は


「『………』」


無言

数十秒たった頃に
先に口を開いたのは


「…大丈夫か?」

カイ君だった


『…うん…』


その言葉に小さく頷きながらも、内心は、さっきと変わらない

恐怖や悲しみに近いものが
胸の中から離れない


「…大丈夫じゃねぇだろ。自分の手、見てみろ。」


カイ君に言われ
その時、始めて気づいた


『ぁ……』

震えてる

自分の両手は止まる事なく
震え続けていた


「…原因は、何となく分かる。さっきの…悪魔達の事、だろ?」


『………』


無言で黙り込む私を見たカイ君は、「はぁ…」とため息をつくと、静かに立ち上がった





< 90 / 171 >

この作品をシェア

pagetop