水晶の涙



「悪魔が消える事が悲しいって言うのは分かる。…けどな、それに耐えなくちゃ、この学校では生活していけない。」


…わかってる


カイ君の言葉に
無言で、頷きもせず

ただ、俯いた


この学校は、
悪魔を学ぶ為に

悪魔を消し去る術を学ぶ為に
作られた学校


…悪魔が消される事を、一々気にしては居られない


だけど


『…聞こえるの。』


「…聞こえる?」


『……うん。』


…そう、

聞こえる


『…助けて、死にたくない、って…』


「それって…」


『…私…悪魔の、心の声が聞こえるの…』


そう言うと、カイ君は目を見開いた


…そりゃ、そうだよね

どんにに凄い悪魔払い師でも、どんなに悪魔の研究が進んでいても

悪魔の心だけは、分からない





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