清水君の好きなヒト



「…しかってくれたの、私を」

『どういう事?』



「私が榊グループの令嬢だってことは知ってるでしょ?
お姉ちゃんは上手く大手企業の大人を味方につけたりする社交術が得意だけど
私は全然

人に接することが昔から苦手でいつも姉の影に隠れていたの
その上人に助けてもらうのが当たり前のように思っていて

劣等感もあったし、そのくせプライドもあったし

…今もそれが十分直ってるわけじゃないけど、面倒な子供だっただろうね


そのまま高校に上がった直後に、清水君に言われたの
『榊さんって面白み無いね、楽しい?そうやって人はべらすの』って」


そのときのことを思い出して
私はくすりと笑った


『咲良らしいや、ごめんね』


「ううん、その言葉が結構衝撃でね
今まで面と向かってそういう言葉言ってきた人なんていなかったから嬉しかったんだ
それに悪口に見えて、ちゃんと私を見てる言葉だなって思って

変に嬉しかったんだ
おかしな話だけどね」




最近の私は、清水くんの言動に振り回されて

本人をきちんと見ようとしていなかった



「私、清水君の所に行きたい」


そして
清水君にもう一度伝えなければいけない





『うん、行っておいで』





記憶の中の君は

いつもひねくれた笑みを浮かべてる


今の君は

どんな顔をしているの…?






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