清水君の好きなヒト
『・・・・・・』
「・・・・・・」
只今、どんな状態かと言いますと
自分の教室の椅子に座っている私の目の前に
清水君が立って見下ろしています
…いや、見下してます
『帰るよ』
「えっと…なんでですか?」
思わず敬語になってしまうのはしょうがないと思う
『じゃあ、ずっと学校に残ってるの?』
「いや、そういうわけではなくて…」
なぜ清水君と帰る事が決定してるのかという事に疑問を持ったのですが…
『それならいいじゃん、行くよ』
「え、ちょっ!…」
私はいつの間にか鞄まで人質に取られていて
歩き出す彼にしぶしぶ付いていく事になってしまった
ふてくされて彼の後ろを5歩くらい間を空けて歩く私は
周りからどういう風に見られているのだろうか?
昇降口についてから
ようやく彼は言葉を発した
『ちょっと付き合ってよ』
「え、付き合うってどこに?」
そう言うと、ぎろりと睨まれた
率直な疑問さえ持ったらいけないのか…
はぁーと清水君は長いため息をはくと
持っていた私の鞄をぽいと私に向けて投げると先に歩き出してしまった
「うわっ!」
慌ててそれをキャッチすると
付いていっていいのか悪いのか分からずその場に立ち尽くしてしまう
それを数m離れた清水君が気付いたらしく振り向いて
『遅い』
と一言言い放つとまた歩き出してしまった