清水君の好きなヒト
大急ぎで彼に付いて行くと
彼に声をかける人が現れた
『咲良(サクラ)遅せーよ…って、え、榊さん?』
それは彼の親友(たぶん)の須藤(スドウ)君だった
「あ、須藤君…」
『ちょっ、咲良!なんで榊さんがここに…』
彼は親友の呼びかけにも答えることなく進んでいった
「…とりあえず、行きますか?」
『そうだね』
しょうがないから
私は須藤君と並んで帰る事になった
彼の行動は
意味が分からない
須藤君は少し先の自販機で炭酸を買って飲んでいた
さも私たちを待ってたとでもいいたそうに
『咲良ぁー、今日本屋寄るんだろ?』
『うん。週刊ダッシュ買わないと』
飲み終わった缶をゴミ箱に捨てると
どさくさに紛れて帰ろうとしていた私に気付いたのか
後ろ襟を掴まれて進行を阻まれた
『んで、たぶん最新刊出てるからそれも買う』
…これは、帰るなと言うことなのだろう
私にはどうしたらいいか分からないけど
これだけは言える
拒否権は無いんだな。と
しょうがないから本屋までの道のりも気遣ってくれる須藤君に話を振ってもらいながら
肝心の人物と一言も話さずに付いて行った
それから特に何も無いまま別れた
須藤君は『送ろうか?』と言ってくれたけど
謹んでご遠慮させてもらった