清水君の好きなヒト
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私と須藤君は
二人で体育館の扉に寄りかかって
特に喋る事もなく気まずい雰囲気で過ごしていた
『あ、のさ
咲良のこと誤解しないでやってほしいんだ』
「え?」
急になんの話だろうと目線を向けると
須藤君は少しためらい気味に話し始めた
『咲良は人一倍不器用だから、人を思いやるために自分を傷つけてるんだ
榊さんは咲良に振られたんでしょ?』
「……うん」
須藤君は苦笑いをしながら続けた
『あれね、俺が榊さんを好きだったからなんだ』
「ええっ!!…えと、その…ええ!?」
須藤君は最近仲良くなったと思ってたから
突然そんなこと言われて照れるやらびっくりするやら大パニックだ
『ああ、今は違うよ…って、違うってのも失礼か
今は友達として好きだよ
ただ…咲良はその事気にしてるみたい』
何も、いえなかった
『咲良は榊さんに好かれないように何重にも予防線を張ってるんだ
今日も咲良に酷い事言われたから泣きそうな顔してるんでしょ?』
「もしかして、3人で帰った時に清水君が全然喋らなかったのも…」
『たぶんね、俺と榊さんを仲良くさせる目的と
榊さんの中の自分のイメージを下げるためだと思うよ』
私は、清水くんの何を見ていたのだろう
『咲良は顔もいいし勉強できるし、人付き合いって部分を除けば女の子の理想だと思うけど
榊さんは咲良のどこに惚れたの?』
その言い方はまるで
顔やまわりの人間が騒いでいるからって理由では渡さないとでも言いたそうな
冷たい瞳だった