いじわるだけど好きな人

「それでこそ俺の好きな樋浦だ!!」

ドカッと最後の男を殴り倒した。

…先輩…。

先輩の背中を見ていたら、急に振り返ってきて上着を脱いで私にかけた。

「俺以外に見せんなって言ったろ?」

そう言って、優しい笑顔で頭を撫でられた。

目に涙が溜まってくる。でも抑えきれなくてボロボロと落ちてきた。

「っ…う…先輩ぃ…あ、ありがと…っございますっ…」

泣きじゃくりながらそう言うと先輩はいつものように、ふはっと笑ってぎゅっと私を抱き締めた。

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