いじわるだけど好きな人

思わず先輩を勢いよく押してしまった。

「っ…な、なななななな何するんですか…っ!?」

真っ赤だ私きっと。
だって…わわわわわ私のファーストキス…。

「…お前が誘ってるような顔するから悪い。俺だって男だ、好きな女にはキスだってその先だってしたいと思うんだよ」

やや、そんなこと聞いてないです!!


しばらく私たちの間に沈黙が走る。


「「……………。」」


ようやく口を開いた。私から

「…先輩…帰ってください…」

私、素直じゃない…。
ほんとは、キスされたこと…嬉しかった。
それに、…行かないで…って、思ってるのに。

「わ、悪い…。…じゃ、じゃぁ…また明日?」

ドアを開けて出ていこうとする先輩。
…先輩、けっこう鈍感…。

私は体は正直なんだな、とこのとき思った。


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