初恋カフェオレ
「おっお疲れ様です」
トレイの上のコーヒーを音をたてぬようそっと三沢の机に置いた。
波紋が少し揺れた。
書類に向かい合って睨めっこをしていた三沢は、そのまましかめっ面で顔を上げてくれた。
目があった瞬間は驚いた顔、その次にどうしたらわからない顔、最後にはお面のような笑顔になった。
百面相みたいだな、と阿呆みたいなことを考えていると
「ありがとう………ちょうど、ブラックコーヒーが飲みたかったんだ」
さっそくといった感じで取っ手をつかみ、一口すすってくれた。
何かを我慢するような表情に、ん?と不思議に思ったが、光の速さより早くそれはなくなったので、おかしくは思わなかった。
「で、今度の」
「あっ空いてません」
先の言葉がわかったので早めにくぎを刺しに行った。
思ったより深く刺さったようで、三沢は苦笑する。