初恋カフェオレ
「すすっすみません!」
今日も彼女は元気よく上司に頭を下げていた。
何をやらかしたのかな、と興味本位で耳を澄ましていると
「まったく、これだから小娘は……」
いかにも年寄りが言いそうな言葉を吐き捨てた上司。
その時、彼女から発せられていた雰囲気が、180度くらい急変した。
「お言葉ですが」
背を向けられているので顔は見えないが、凛っとした声音で挑発的に発言した彼女に、お?と思った。
「この年で小娘というのには少し老けすぎていると思いますが………」
何気なくバカにしているその言葉が、自分に向けられたのだと認識していなかった上司の頬が、徐々にリンゴ色に染まっていく。
あっこれやばいな。
「なっ………!」
どでかいリンゴが立ち上がり、怒鳴りつけるかと思われた張りつめられた空気に、間の抜けた機械音が鳴った。