初恋カフェオレ
その夜は不運なことに、新人歓迎飲み会という名の新人を悪酔いさせるだけの会が催された。
私は影が薄いほうだったから絡まれないで済んだが、甲高い声が耳について割れそうだ。鼓膜が。
一人むぐむぐと摘みをアルコールが少ないビールで流し込む。
しゅわっと喉を熱くさせながら通り過ぎていった。
皆で飲んだほうが楽しい、というのは間違ってるな。
騒音で埋め尽くされていく頭の端っこでひそかに思った。
ただうるさいだけだ。
突然、とある摘みがほしかった。
どこかで見たな、と考えつつ長い机を見回す。
空になっている皿を退け、右斜めにある目的をロックオンし、そっと気づかれぬように手を伸ばした。
標的は独りでに浮いた。