one's love
「うわぁッ!!」
『おわッ!?』

俺は急いで起き上がると、爆笑している亮二を睨みながら
巻き込んでしまった運悪い女・白岩 楓(シライワ カエデ)の机を
元にもどした。

「ちょ、なにすんねん!」
キーキー叫ぶ白岩を横目に、俺は無視して淡々と机を戻す作業を進めた。

「無視!?ありえへんッ!」
そう言ってプンスカ怒る白岩を俺は亮二と同じように睨んだ。
白岩楓は、少し癖のある真っ黒な髪に、
茶色い瞳、女子にしては珍しい少し低めの声だけどよく喋る、
なんというか・・・小鳥みたいな女だった。

『・・・うるさい!!』
「はぁぁぁぁぁぁ?あんたが蒔いた種やろー?!」
『せやけど、一々うっさいねん!』
「なにをぅ!?」

そう言うと白岩は俺を思いっきり睨んだ。
・・・いや、本人は睨んだつもりだろうけど、
俺からするとただ眉を顰(ヒソ)めただけんしか見えなかったので、
鼻で笑ってやった。

『・・・フッ』
「!!!!?は、は、鼻で笑いやがった!!」
そう叫ぶ白岩を無視して、俺は席を戻した。

後ろでまだなにか叫んでいる白岩を、
担任の先生・・・蔦丘(ツタオカ)が宥めている。
蔦丘は、まだ28歳の新米教師で
まだ少しツメの甘い教師だった。
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