トリプルトラブル【完】
 秀樹の豪速球は地元の話題になっていた。
全国区の新聞記事にも取り上げられる程だった。

でもそれには別の意図もあった。


――元プロレスラー・平成の小影虎の息子――

タイトルは全てそれだった。


秀樹も直樹も正樹とは違い長身で格好いい。
当然ファンも増大する。

勿論、正樹ファンも見逃さなかった。

そう……
沙耶にお見合いを頼んだ人のように、正樹ファンも虎視眈々とチャンスを狙っていたのだった。


一躍人気者となった秀樹と直樹。

でも二人は、美紀一辺倒だった。
他の人には目もくれないで、真っ直ぐに美紀だけを見つめ続けていた。


二人の親友と位置付けられた大も同じだった。

三者三様の恋愛バトルを繰り返していた。

一部の望みを賭けて。



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