トリプルトラブル【完】
 美紀は暫く祖父と暮らすことにした。
祖父を一人にはしておけなかった。

姉が殺しかけた妹。でもその妹の娘は、たくましく優しい子供に育っていた。


――夢をありがとう――

祖父は正樹に感謝の言葉をノートに書いた。

正樹はそれを見て泣いていた。


――美紀ちゃんの好きな人は誰?――

正樹の目を盗んでこっそり祖父が聞く。


「うふふ、ないしょ」

美紀はそう言いながら正樹を見つめた。




真っ白いチャペルで鐘が鳴り響く。
タキシードで決める秀樹・直樹・大・正樹。
ウエディングドレスの美紀が、祖父にエスコートされて歩いてくる。

跪いて美紀を迎える四人。


「パパ愛してるよ!」
美紀が正樹の胸に飛び込んでいく。




(――あれっ!?)

正樹との結婚式を想像しながら美紀は頭を振った。




美紀はそっと祖父を見た。


祖父は優しそうな眼差しを美紀に向けて笑っていた。

きっと久しぶりに笑ったのではないだろうか?


その日……
笑い声は途絶える事はなかった。




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