トリプルトラブル【完】
 夏の終わりの風物詩。
珠希の楽しみにしていた地元の花火大会が始まる。

ルーフバルコニーには、叔母の家族と大も招待されていた。


(――お姉さん!?)

沙耶は美紀を見て驚いた。

家族の為に甲斐甲斐しく働く美紀の中に珠希を見たからだった。


(――お姉さん此処にいたの?

――そうか。だから美紀ちゃん……)

沙耶はまじまじと美紀を見詰めた。

美紀はそんな沙耶が怖かった。


沙耶は美紀に懐かしさを感じた。

その感覚が何なのか?

答えが出ないままで……




「高校野球、実に惜しかった」
正樹が口火を切る。

「もうちょっとでベストエイトだったのに」
大が悔しそうに言う。


「でも。俺達を負かしたチームが優勝したんだって、みんなに自慢しちゃた」
美紀を見ながら、大が照れながら言う。





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