トリプルトラブル【完】
 「可哀想だとは思わないのか?」
大は二人の部屋に入ってすぐに切り出した。


「俺達の母親代わりだって言うことか?」
秀樹の質問に大はただ頷いた。
でも本当の意味は違っていた。


「美紀は知っているんだと思うんだ」

秀樹はそう前置きしながら、珠希のラケットが美紀の手元に残った経緯を語り始めた。




「そうか。親父さんは、それほど奥さんを愛していたのか」
大は辛そうに呟いた。
美紀がどんなに正樹を愛してても、報われるはずがない。

そう感じだのだった。


でも秀樹には、その言葉は聞こえなかった。






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