トリプルトラブル【完】
 「美紀ちゃん。もしかしたら貴女、お姉さんが亡くなった後に、正樹さんのことをもっと好きになっていない?」

沙耶の質問に美紀は戸惑いながら頷いた。


それは美紀自身にも解らなかった。

何故こんなにも正樹が好きなのか?

何故大や兄弟では満たされないのか?




その答えは、沙耶が知っていた。

美紀が産みの母が憑依していると言ったので、やっと理解出来たことだった。




「お姉さん!」
沙耶はそう言うと突然泣き出した。


(――そうよね。正樹さんを守るために美紀ちゃんの体に憑依したのね。

――だから正樹さんは助かったのね。

――判ったわお姉さん。お義兄さんの傍を離れたくなかったのね。

――だから美紀ちゃんに憑依したのね)

次の瞬間。
沙耶は美紀が愛しくて仕方なくなった。




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