トリプルトラブル【完】
 階段下のドアを開けて、仏間に入る。

子供達が登校した後、心静かに遺影に向かう。
正樹と珠希の何時もの会話時間だった。


――シュッ。

マッチを擦り、線香に火を付ける。


「なあ珠希、この頃の美紀、二人に似てきたと思わないか?」

そう言いながら遺影に目をやる。


二人と言うのは、産みの母と育ての母のことだった。


「早いもんだな。あれからもう十八年か」


正樹は三人の産まれた日のことを思い出していた。




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