トリプルトラブル【完】
 陣痛が始まり免許取り立ての正樹の運転で病院へ向かっていた。

正樹はそれまで助手席専門だった。
でもそれで良いと思っていた。



プロレスの試合の時は、バス移動だった。
家では自転車。
それで困らなかったのだ。


プロレスのことだけ考えていればいい。
珠希にもそう言われていた。


でも産まれて来る子供達のために取得しようと決意したのだった。

珠希のお腹の中に、複数の命が宿っていると解ったからだった。


病院へもう少しという時だった。
目の前をフラフラと歩く女性を発見して車を止めた。

急いで二人が駆けつける。
でも女性は手を払いのけ、尚も進もうとした。
そして力尽きてとうとうそのまま道路にうずくまってしまった。

女性は息も絶え絶えの中大きなお腹をさすっていた。


すぐに公衆電話を探して救急車を呼んだ。

そして到着を待つ間必死に呼びかけた。
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