トリプルトラブル【完】
 珠希の背中を追っているのは知っている。

珠希と同じように、自分の犠牲になることさえも覚悟の上だと言うことさえも。

そのために短大を選んだことも知っている。


でも……
美紀を羽ばたかせてやるのが親としての責務だと認識し、沙耶に相談することにしたのだった。




自分へお見合いを勧めた沙耶。
もしまだその話が生きているなら、もう一度考え直そう。
そう思っていた。

美紀を諦めるためだった。

美紀に諦めさせるためだった。
どんなに好きでも。
どんなに愛していても。
それが一番良い選択だ。
苦しみもがいた末に、正樹はやっと決意した。

< 185 / 229 >

この作品をシェア

pagetop