トリプルトラブル【完】
 正樹は辛い決断をした。
しざるを得なかった。

美紀を思えばこその判断だった。


泣かれることは解っている。

蔑まれることも勿論承知の上だ。

でも美紀を巣立ちさせてやるために正樹に出来ることはこれ位しかなかったのだ。


お見合いの相手を愛せるかどうかも心配だった。


(――でも……
沙耶さんが勧めてくれた人なら間違いないだろう)

正樹はそう判断して、沙耶に連絡を入れたのだった。

おりいって相談があると。


正樹はその時、本当に美紀の幸せだけを祈っていた。

願い続けていた。

そのためならどんな苦労も厭わない。
そう思っていた。


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