トリプルトラブル【完】
 沙耶の剣幕に正樹はたじたじになった。


「解っているの!? お義兄さんは三人の女性から愛されているのよ!」


「三人!?」


「そう三人。何故美紀ちゃんが子供の頃から『パパのお嫁さんになる』って言っていたか解る? 結城智恵さんが言わせていたの」


「えっ!!」
正樹も目を丸くした。


「好きだったのよ! お義兄さんのことが。大好きだったのよ!」
沙耶はとうとう泣き出した。

自分でも解らない感情が沙耶を支配していた。


(――三人か……)

沙耶は俯いた。
本当は三人ではないことに気付いて……


「そんな!? 俺は結城智恵が好きだった。守ってやりたかった。でも珠希に出会い俺は変わった。素直になれた。守って貰いたくなった」

でも、聞き捨てならないことを言い出した正樹を又見つめる羽目になった。


「守って貰いたく?」

沙耶はやっと言えた。


「そう。珠希の前だと子供のままで居られた。だから俺は思いっきり甘えた」
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