トリプルトラブル【完】
 だけど美紀は迷っていた。
余りに種類が豊富だから。


その中から見つけた物。
それが矢車草だった。
前面に描かれていた、花火のような花の絵に心がひかれたのだ。

珠希が花火を好きなことを思い出したからだった。

この家を選んだのだって、此処から見えるから……
だった。


遠花火だったけど。


(――どんな花が咲くんだろう?

――きっと何処にもないような花なんだろうな。

――ママ、喜んでくれるかな?)

美紀は珠希の喜ぶ顔を想像しながら、そっと買った種をポケットにしまった。




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