トリプルトラブル【完】
 ソフトテニスは軟式テニスと言っていた頃とはルールが違っていた。

前衛と後衛に分かれて戦う。
それは同じだった。
大きく違うのはサーブだった。
一人だけから二人の共同作業になったのだった。

前衛は守りのみだった。
スマッシュやボレーの腕を磨くだけで良かった。

珠希はその前衛だった。
中学高校で培った力を全面的に否定されたようで最初は慣れなかった。

サーブは後衛に任せっきりだった。

珠希は全くサーブの練習などして来なかったのだ。

だから人一倍悩んだのだった。

でもどうせ遣るなら、誰にも打てない物を。
そう思って、初めたイングリッシュグリップ。


自然にサーブも決められるようになるために珠希は死に物狂いの努力を自分に貸せたのだった。




< 45 / 229 >

この作品をシェア

pagetop