トリプルトラブル【完】
 フェンスの向こうでは大が球拾いをしている。


「それって、三年生がすることかい?」

大は突然聞こえてきた美紀の声に驚いて、持っていた球を落とした。

呆然と美紀を見つける大。


「何遣ってるの。ほら早くしないと」
美紀は笑いながら言葉を掛けた。


その言葉に大はハッとして周りを見回した。

大慌ててボールを拾う姿は美紀には滑稽に写った。


「これでレギュラーだって言うんだから呆れるね」


「イヤなトコ見るなよ。これはなー、秀と直のサポートだよ」

大はそう言って、グランドに目をやった。

秀樹と直樹のバッテリーが、新入生に豪速球を披露していた。


「エースだからな秀は」
自慢げな大。

拾った玉を抱えグランドに戻った。



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