トリプルトラブル【完】
 美紀は珠希の仏壇に花瓶を置いて前に座った。


「ママ。お誕生日おめでとう。チューリップやっと咲いたよ」


珠希の大好きだったチューリップを、美紀は見様見真似で育てていた。

去年うっかりしていて、球根を植え付けるのが遅れたのだ。


それは……
ソフトテニス部のキャプテンに選ばれたからだった。

遣らなければいけない事案が満載で、帰宅時間も遅れがちだった。

責任感の強い美紀は、部活のために頑張っていたのだった。


でも、それを口実にしたくはなかった。

だから、物凄く気になっていたのだった。


「でも、間に合って良かった」
美紀は涙ぐんでいた。




五年前の春。珠希は亡くなった。
今日はその珠希の誕生日だったのだ。
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