トリプルトラブル【完】
 可憐な白い小手毬も咲いていた。
小手毬は枝を切らなければ来年綺麗に咲いてくれないと聞いていた。

だから美紀は惜しげもなくその花を摘んだ。


長尾家の庭で一番陽当たりの良い場所にある小手毬。
そのためか枝は四方八方に伸びていた。


(――暫く小手毬だけになるかな)

そんなこと思いつつ……
花瓶を取りに玄関に入り合掌をする。

美紀は小手毬をそれに入れ、シューズボックスの上に飾った。

その花瓶の横に盛り塩を置く。


白い花と盛り塩……
それは鬼門にある玄関の厄除けだった。

それと同時に、珠希への感謝の気持ちの現れだったのだ。


美紀はもう一度合掌をしてから玄関を閉め、勝手口からキッチンに戻った。


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