トリプルトラブル【完】
 美紀が自分の部屋に入るのを確認した正樹は、直樹を部屋へ迎えに行った。


沙耶に指摘され、正樹は舞い上がっていた。

秀樹に聴かれ、更に動揺していた。


益々美紀の存在が大きくなるのを感じて怖くなった。


愛してはいけない美紀を愛してしまいそうな正樹。

親としてではない。
それは寂しさを紛らす為のように思えていた。

珠希のいない寂しさを。


今朝見た美紀は珠希そのものだった。

何故育ての親の珠希にあれほど似ていたのだろう?


その答えは出ない。
でも、その為に……


美紀を益々意識する事になる。


正樹はそれが怖かった。


『大きくなったらパパのお嫁さんになる』
美紀は確かにそう言った。


それを口実に……
美紀を愛してしまいそうな正樹だった。
< 78 / 229 >

この作品をシェア

pagetop