トリプルトラブル【完】
 そこへコーチが遅れてやって来る。


「遅いよコーチ。昨日から朝練早くなったんだから」
大が得意そうに言う。

「何ー!?」

部員のブーイングを受けて大は縮こまった。


「昨日遅れて来たヤツが」

秀樹の一言でみんな大笑いをした。

大は野球部のムードメーカーとしての素質は充実にあった。

秀樹は何とかチームを纏めるために一役買って欲しいと本当は思っていたのだった。


朝練の方向性が決まった。

柔軟体操と走り込み。
まずは基本となる一人一人の体力作り。

甲子園に向かって零からの出発。

本当は投げ込みたい秀樹。
自分を抑えチームを一つに纏める。
その為に頑張ろう。
秀樹が又少し大人になった瞬間だった。




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