カラスの糞

 状況からみて、ほぼ間違いなく彼女の頭に落ちてきたのはカラスの糞だろう。
 とりあえずその事実をこの目で確かめられる距離まで近づこうと、私は、小走りにならない程度まで足を速めた。
 
 出勤前のあわただしいこんな時に、カラスの糞で髪を汚されるなんて、あの人普段の行いが相当悪いとしか考えられないわ。

 だって、いくら近頃お行儀の悪いカラス達が都会に徘徊しているとはいえ、よく聞く話じゃないし、こうして目撃したのも生まれて初めての経験だもの。

 やっぱり、これは単なる偶然じゃないわよね、そうこれは何かのメッセージかも。
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