あなただけのcolor
★ 沙来 ★



響の部屋の時計を見たら夕方になっていた。

響は断る私をよそに


「俺、なんか元気の出るもん作ってくるから!」


って言って部屋を出ていった。

ベッドに一人横になる私。


右手で包帯にそっと触れてみる。

動かさない程度なら痛みはないみたい。

傷がどうなってるのかは分からない。

跡が例え残っても構わない。

私と響との証になるなら…



…だし、

ここ響の部屋で響のベッドの中だし!


怪我しちゃったけど…ちょっぴり嬉しい私。

自然と口元が緩み顔がほころぶ。


グッとベッドへ入り込む…


単純な私だ。



コンコン、



「簡単だけど、おかゆ作ったから…」


潜ってすぐにベッドからまた体を起こした。



出来たてアツアツのおかゆを響は


「ふぅー、ふぅぅー…」


って可愛いぃ…


こんな顔なんて見れないじゃん。

私のためにおかゆ作ってその上ふぅふぅだなんて。


あの部活中に後輩にきつく叱ってる姿からなんて想像出来ない。

有り得ないでしょ。


「クスっ…」


「んっ??どした?」


「ううん…なんでもない…」


そんな事考えてるなんて絶対に言えないよ。


右手は使えるのに最後の一口まで食べさせてくれたとっても優しい響。

恥ずかしかったけど甘えちゃった私は


「ん~、美味しかった!ごちそうさまでした!」


と言った。





あ~、怪我して良かったぁ…




ってそっと胸の奥で思った。



















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