あなただけのcolor
★ 響 ★



沙来のクラスのカフェは大繁盛だった。

全然中には入れそうになかった。


「沙来のクラスすげぇな、どーする?」

「時間が時間だからかな…うわぁ忙しそう」


沙来は教室の窓に近付き、中を覗いてた。


「クスっ、忙しいって♪」

「ん??」


俺も後ろから沙来の肩越しに覗く。

すると、同じクラスの高田がジェスチャーで忙しいって合図を沙来に送ってた。


少しムッとする俺。

高田は俺の存在に気付き、軽く会釈をした。


「沙来、行こうぜ」


窓越しに沙来と高田が合図していたのも、それに沙来が笑った事も少し面白くなかった。


手を引っ張って人混みを抜けて行った…


「ん?響、どうかした?」


俺はあの場所の前で足が止まった。


「ここで少し休んでようぜ」



ガラガラ…



視聴覚準備室だった。


いつものように静かでうす暗く、カーテンからの漏れる光だけだった。

廊下の人の声もここには届かない。

シーンとする。



「沙来、誰もいない二人きり…こうしたかった」


俺は沙来をぎゅっと抱きしめた。


「響、さっきみんな見てる前でキスしたじゃん…」


「あれは衝動的っつーか…今はゆっくりこうしていたいから…」


でもこうしたくなったのも高田のせいなんだけど…

自分の事を棚に上げて、沙来にはかなりヤキモチ妬く俺。




「…響、キスして…」



そんな可愛い声で甘えられたら、優しくなんか出来る訳がなく…

強く抱きしめながら、熱いキスをした…





















< 214 / 233 >

この作品をシェア

pagetop